初めての潤滑剤——水性とシリコーン系の違い、選び方、使い方
ローション・潤滑ゼリーはどれを選べばいいのか。水性とシリコーン系の仕組みの違い、コンドームとの相性、実在する定番品の比較、量とタイミングまで。効果の宣伝ではなく、選ぶための構造を説明します。
潤滑剤(潤滑ゼリー・ローション)は、乾燥や痛みへの対処として医療情報でも普通に案内される道具です(背景は痛みの記事と濡れないの記事で説明しています)。この記事は「どれが効くか」ではなく、種類の構造と選び方を説明します。効果はからだの状態によって違うので、約束はしません。選ぶための判断材料だけを置きます。
まず結論の表
| 水性(水溶性) | シリコーン系 | |
|---|---|---|
| 主成分 | 水+グリセリンなど | ジメチコンなどのシリコーンオイル |
| 使用感 | 自然。ただし乾きやすく、途中で足すことがある | 少量で長持ち。ぬるつきが残りやすい |
| 洗い流し | 水やシャワーで簡単 | 石けんが必要なことが多い |
| コンドーム | ○(各社が水溶性を案内) | 製品によるが対応品あり(各製品の表記を確認) |
| シリコン製グッズとの併用 | ○ | 避ける(グッズメーカーが水性のみを指定) |
| 初めての1本として | 推奨 | 乾きやすさが不満になってから |
なぜ水性が「最初の1本」なのか
理由は性能ではなく、失敗した時のコストが低いからです。洗い流しやすく、コンドームともグッズとも組み合わせの事故が起きない。使用感が合わなくても、水性の中で別の製品に替えれば済みます。
シリコーン系は「乾きにくい」という明確な長所がありますが、組み合わせの注意が増えます。特にシリコン製のグッズとの併用は避けてください。これは潤滑剤メーカーではなく、グッズメーカー側が明言していることです——irohaの公式FAQは自社グッズについて「水ベースのローションのみ」を指定しています。素材同士が影響し合い、変質の原因になるためです。
安全の線:オイルとコンドーム
ひとつだけ、好みではなく安全の話があります。オイル系のもの(オイル系ローション、ベビーオイル、バター等の代用品を含む)をラテックス製コンドームと組み合わせないこと。
- オカモト公式FAQ:「ラテックスやポリウレタンは、両者とも油分に対する耐性がありません。オイルを使用すると破損の原因につながります」
- ジェクス公式FAQ:「水溶性のローション、ジェルについては大丈夫ですが、オイル系のローションやバター、オリーブオイル等は、ゴムを痛めますので使用しないでください」
コンドームの破損は避妊と感染予防の両方の失敗を意味します。「なんとなく手元にあるオイルで代用」だけは、やめてください。
どちらを選ぶか——三つの質問で決まります
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シリコーン製・エラストマー製のアイテムと一緒に使いますか。
- 使う水性。シリコーン系はシリコーン製の表面を傷めます。ここは好みではなく、壊さないための線です
- 使わない次の質問へ
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コンドームと併用しますか。
- する水性を選んでおけば迷いません。サガミオリジナルゼリーは自社製コンドームとの併用を検証済みと公式に記載しています
- しない次の質問へ
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乾きにくさを優先しますか。
- するシリコーン系。少量で長持ちします。ただし上の二つに当てはまる場合は選べません
- しない水性。洗い流しやすく、最初の一本として扱いやすい
迷ったら水性です。上の三つのうち二つが水性に着地するのは偶然ではなく、水性のほうが併用の制約が少ないからです。
実在する定番品(2026年8月時点の確認情報)
価格は変動するため参考価格です。リンク先で現在の情報を確認してください。
水性
- リューブゼリー 分包タイプ 5g×5包(ジェクス) — 1回分ずつの個包装。下のチューブと中身は同じで、確かめるための単位が違うだけです。合わなかったときに残らないので、最初の1回はこれで足ります。公式ショップ660円(税込)。合わない人:使う回数が増えると割高(1包あたり132円)
- リューブゼリー 55g(ジェクス) — 日本家族計画協会の医学委員会が1982年に開発した、日本初の水溶性潤滑ゼリー。医療の文脈から生まれた製品で、迷ったらここから始める定番。希望小売価格1,100円(税込)。合わない人:パラベン(防腐剤)に敏感な人は成分表示を確認
- サガミオリジナルゼリー 60g(相模ゴム工業) — 水溶性でヒアルロン酸Na配合。自社のラテックス製・ポリウレタン製コンドームとの併用を検証済みと公式に記載。希望小売価格1,100円(税込)。合わない人:とろみの強さの好みは分かれる
- iroha MOIST GEL 100g(TENGA) — 水溶性・保湿成分(ヒアルロン酸Na・水溶性コラーゲン)配合。容量あたりの価格が手頃(参考1,320円/100g)。グッズと併用する人はメーカーが同じだと迷いが少ない。合わない人:傷・湿疹がある部位には使えない(公式注意)
シリコーン系(2本目以降の選択肢)
- pjur ORIGINAL — シリコーンベースの定番輸入品。少量で長持ち。合わない人:シリコン製グッズと併用したい人(上述の理由で不可)
- アストログライド エックス シリコンジェル 85g — 天然ゴム・ポリウレタン・ポリイソプレンのコンドームと併用可と日本公式サイトに記載。合わない人:洗い流しの手軽さを優先する人
使い方——量・場所・タイミング
- 量:最初は1〜2cm程度を指に取り、足りなければ足す。多すぎて困ることは少ないので、少なめから調整するより「乾いたら足す」と考えたほうが実用的です
- 塗る場所:自分側の入口と、相手側(またはグッズ)の両方。片方だけだと摩擦が残ります
- タイミング:挿入の直前だけでなく、痛みが出やすい人は最初から。乾きを感じてから塗るのではなく、乾く前提で先に使う道具です
- 保管:キャップを締めて直射日光を避ける(各社公式の注意)。未開封の品質保証期間は製品によりおおむね5年程度と案内されています
買い方——止まるのは「どれを」より「どの単位で」
種類を決めたあと、もう一段の迷いがあります。同じブランドでもラインが分かれているからです。リューブゼリーだけでも、公式サイトに並んでいるのは55g・110g・分包タイプ・PREMIUM・ホット・デリケートインの6つ。「水性でいい」と決めた人が、棚の前でもう一度止まる場所がここです。
分かれ方には理屈があります。 容量(55g / 110g)は使う頻度の話、分包は1回分に切り出す話、PREMIUM・ホット・デリケートインは使用感を足したライン。つまり最初の1回に必要なのは容量でも使用感でもなく、確かめるための最小単位です。分包タイプ(5g×5包・660円)がその単位にあたります。
チューブを1本買うと、合わなかったときに55g残ります。潤滑剤は使用期限が長い(未開封でおおむね5年程度と各社が案内)ので腐りはしませんが、合わなかったものが手元に残ること自体が、次に試す気持ちを削ります。少量から始めるのは節約ではなく、試行を続けるための設計です。
買える場所は、メーカーの公式オンラインショップと大手ECです。配送や送り状の表記が気になる場合は、注文前に各ストアの配送案内を確認してください。ここは店ごとに扱いが違うので、この記事では断定しません。
使い終わったあとの話(グッズの洗浄・保管・処分)は別の記事で扱っています。
買えるところ
参考価格は各メーカー公式の表示です。価格も仕様も変わるので、リンク先で現在の情報を確認してください。
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リューブゼリー 分包タイプ 5g×5包 ジェクス
1回分ずつの個包装。チューブを1本買う前に、自分に合うかを少量で確かめられる。
660円 2026年8月29日確認
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リューブゼリー 55g ジェクス
1982年に日本家族計画協会の医学委員会と共同開発された、日本初の水溶性潤滑ゼリー。
1,100円 2026年8月28日確認
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サガミオリジナルゼリー 60g 相模ゴム工業
水溶性・ヒアルロン酸Na配合。自社製コンドームとの併用を検証済みと公式に記載。
1,100円 2026年8月28日確認
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iroha MOIST GEL 100g TENGA
水溶性・保湿成分配合。容量あたりの価格が手頃で、iroha のアイテムと合わせやすい。
1,320円 2026年8月28日確認
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pjur ORIGINAL pjur group
シリコーンベースの定番輸入品。少量で長持ちする代わり、シリコン製グッズには使えない。
2026年8月28日確認
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アストログライド エックス シリコンジェル 85g アストログライド
天然ゴム・ポリウレタン・ポリイソプレンのコンドームと併用可と日本公式に記載。
2026年8月28日確認